『ターミネーター:新起動』観たのでシリーズの3つの呪縛について

ターミネーター:新起動/ジェニシス』 ※ネタバレなし

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観てきました。TOHO新宿のTCXで。

ちなみに僕は『ターミネーター2』が映画好きになるキッカケの1本と言ってもいいぐらい好きな、大のターミネーターっ子で、『4』以外はどれも好きです。

『4』が嫌いな理由はターミネーターのビジュアルが骨太でダサいのと、なんか深刻な戦争映画になっててつまらなかったので。

 

悪口入りで申し訳ないです。

ではまず『ターミネーター』シリーズのおさらいをざっと…と思ったんですが、

読めばほぼ全部分かる素晴らしい記事があったのでこちらへどうぞ。

www.kotaku.jp

 

ターミネーター:新起動/ジェニシス』はやっぱパロディ祭りだった!

ターミネーターシリーズって『2』以降は、良くも悪くもいかにパロディをやるかが見所みたいなことになっていて、

 

いくつか例をあげると…

・全裸で登場して服強奪

・サングラス装着

・大型車でカーチェイス

・サムズアップ

・アイルビーバック ※こんなwikiも→ また戻ってくる - Wikipedia

 

 

などなど。これはほんの一部で、言い始めるときりがないくらいたくさんあります。

で、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』はパロディ祭りでした!

『1』に関してはシーンをそのまま再現している場面もあり、さっき挙げた例はすべて網羅されているという徹底っぷり。(※サングラス装着はなかったのではとご指摘いただきました!脳内補完の可能性大)

 

本流があることが前提でそこからの変化を楽しむ作品なので(特に前半)、過去作を全部観ておくに越したことはないのですが、

パラレルワールドで内容が非常に複雑。むしろ過去作を知らない方がすんなり受け入れられる部分もあるかと。

個人的には、最低『1』だけは観とくといいかなーとは思います。

 

ちなみに「ジェニシス=Genisys」は「創世記」という意味の「Genesis」が元になった造語で、つづり間違いではないとのこと。

 

シリーズの魅力でもある3つの呪縛

ターミネーターシリーズって主に3つの呪縛があると思っていて、1つ目がさっきも言ったことですが「パロディの呪縛」。パロディはやればやるほど『3』のような安っぽさを生む場合もあります。

 

2つ目が「T-1000の呪縛」です。『2』でほとんど最強の液体金属ターミネーターT-1000が登場してしまったことで、それ以降はそれを超える敵を出すのが本当に大変だったと思います。

『3』は女性にして変化をつけてみて、『4』では巨大化させたり、車型を出したり、もうとにかくいろいろ頑張ってきた歴史がありましたが、

結局『ジェニシス』ではT-1000が復活してます。

news.aol.jp

いやでもT-1000だけじゃさすがにダメだろう、ってことでT-3000という数字を2000足した凄そうなネーミングのターミネーターも登場します。

これはナノ粒子ターミネーターで…って言うとかなり新鮮ですが、実はできることってT-1000とそんなに変わらなくて…。

まあ、いちおうビックリ展開とプラスで呪縛を解こうとしたって感じでしょうが。

 

「パロディの呪縛」「T-1000の呪縛」ときましたが、3つ目は最強の呪縛。

シュワちゃん自身」です。

 

逆に言うと最大の魅力でもあって、『4』はベイルさんに「アイルビーバック」を言わせて新スタートを切ろうとしましたが、結局失敗しました。

 

で、新作では「やっぱりシュワちゃんをがっつり出さないと」ってことで本人をアイルビーバック。

 ただ、さすがのシュワちゃんでも老いには勝てないわけで、どうにもこうにも見た目の問題が発生します。

そこで「機械に人間の細胞をはり付けたのがターミネーターなんだから、皮膚が老けるのは当たり前!」と気づいた誰かのおかげで、その辺の問題も劇中でバッチリ解決。見事クリアーとなりました。

 


 サラ・コナーがかわいい

いろいろ偉そうに語ってしまったので、最後はキャストの紹介をさくさくっとして終わりにします。

サラ・コナー役はリンダ・ハミルトンからエミリア・クラークにバトンタッチして、5000倍くらい可愛く新起動してました。

 

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日本も満喫してたらしいっす。笑顔がかわいいー

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カイル・リース役も新起動。ジェイ・コートニー見たとき、『ダイ・ハード/ラスト・デイ』のマクレーンの息子役と同じ安っぽさがあるなーと思ったら

マクレーンの息子役の人でしたw

 

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左がジェイ、右がジェイのスタントマン。

あれ…スタントマンのほうがカッコイイ…。

 

 

メイキングも貼っときます。では、

Hasta La Vista Baby.

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ターミネーター:新起動/ジェニシス』(2015/アメリカ/125分)

監督:アラン・テイラー

脚本:レータ・カログリディス、パトリック・ルシエ

製作:デヴィッド・エリソン、デイナ・ゴールドバーグ

撮影:クレイマー・モーゲンソー ASC

編集:ロジャー・バート

音楽:ローン・バルフェ

エグゼクティブ音楽プロデューサー:ハンス・ジマー

出演:アーノルド・シュワルツェネッガージェイソン・クラークエミリア・クラークジェイ・コートニーJ・K・シモンズイ・ビョンホン

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』がバカ映画じゃないことが分かるメイキング映像など

また『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の話で恐縮です。

他のこと考えられないから許してください。

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9割実写はマジだったことが分かるメイキング映像

※早速ですがネタバレ注意です。

 このメイキング映像とか見ると、噂通りほとんどCGを使ってないことがよく分かって度肝を抜かれます。映画で観た光景のまんま!

www.youtube.com

 

こっちではCGを使った場面が紹介されているけど、CGの大半は背景。

いや爆発の方は実写なんかい!wとツッコミたくなるところもあるぐらいです。

www.youtube.com

 

ニコラス・ホルトは撮影を振り返って「地面からほんの10センチほどしかないトラックの下にぶら下がっている場面は怖かった」と語っています(※パンフ参照)。

頭をのけぞらせたら、前輪に巻き込まれて首が吹っ飛ぶよってスタントマンにおどされたそう。怖すぎ!

 

イモータン・ジョージ・ミラー監督が語る今作のフェミニズム

先日、TBSラジオライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』では、悪魔主義者・高橋ヨシキさんによるジョージ・ミラー監督のインタビューが放送されました。これもいろいろ面白かったです。

 

全文書き起こしのリンクを貼っておくので、ぜひ読んでみてください。

TBS RADIO ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル

 

 

 ざっくり内容の紹介をすると、今作のフェミニズムについては、

「男が別の男から女を奪おうとする」というのでは話の意味が全然違ってしまう。

フェミニズム〉はストーリーの構造から生まれてきたものなんだ。

と語っています。つまり、マックスがイモータンと直接戦わないことにもちゃんとした理由があったというわけで、決してフェミニズム映画を狙ったものでもないということ。

パンフ読んでも思ったけど、すべてのものに動機や意味がハッキリしていて本当に驚きます。

 

また、ズームではなくトラックショットを使うことには

カメラを実際に移動させることによって、二次元のスクリーン上に、立体的な感覚が生まれる。

(中略)ワイドレンズを使い、実際に対象に寄って行くことで、観客に、その場に実際にいるような感覚を味わわせることが可能になる。

と語ってらっしゃいます。これも明確な狙いに基づいて演出が施されているということを示していますね。イモータン・ジョー!!

 

ほかにもフュリオサの腕がない理由、"目玉飛び出しカット"について興味深い話がいろいろあります。必読!

 

火炎放射ギターにもちゃんと意味がある!

こっちのインタビューなんかでは、ドゥーフ・ウォリアーのギターに火炎放射がついていることについて「ただ楽器を持っているだけでは戦闘時に役に立たないので」と説明しています。

 

さすが元医者というインテリ監督らしく、こんな馬鹿げたことも、なぜこういう結果に至ったかの理由がきちんと構築されている。

ほんと裏設定がいちいち細かいし、1つ1つにどんだけ神経使ってるんだと圧倒されます。

 

ニュークスは誤訳だったという衝撃事実!

最後に、ニュークスくんについてちょろっと。最初に映画を観た時、ニュークスがナックスって呼ばれていることが不思議で調べてみたら、英語表記は「NUX=ナックス」。

なんでこんなことになってるのかは不明ですが、マックスと見間違うからじゃないか説ってのも目にしました!

ちなみに翻訳家の芝山幹郎さんもハッキリ誤訳と言ってる→

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」とジャンル映画の極限 : 芝山幹郎 娯楽映画 ロスト&ファウンド - 映画.com

 

で、僕はニュークスくんおよびウォー・ボーイズ全員が大好きなんですが、頭が狂っていて死にたい死にたい言ってるから好きなのではなく(そういう人も好きだけど)、めちゃくちゃ幸せそうで楽しそうだから好きです。

 

イモータンと目が合うだけで「きゃーー俺のこと見たよ!ねえ、俺と目が合ったよ!」って大興奮。

槍手隊の戦闘員が見事な爆死を遂げたら、みんなでイェー!よくやった!って本気で言ってるし、嵐の中で仲間たちがゴミのように巻き上げられて死んでいくのを見たニュークスくんは、歴史に残るであろう名ゼリフ「What A Lovely Day!!」とめっちゃ嬉しそうに叫ぶ。

首元にできた2つの腫瘍をラリーとバリーだよってケイパブルに紹介する、かわいいニュークスくんですが、寂しげに彼女を見つめながら車を横倒しにする場面は、1億回観ても泣けます。

イェー!派手に散ったるぜ!と言っていた彼が、生きることに未練を感じながらも宿命を受け入れる名場面。

ニュークスくんにとって、イモータンのために散ることはイコール自分が死後に蘇るためでもあって、実は自分のためでしかありませんでした。

しかし、ここで彼は本当に他者のために命を捧げるわけです。

ヴァルハラで無事蘇って、幸せに暮らしていることを願います。V8!

 

あなたの休日をWhat A Lovely Day!!にするための『マッドマックス』4DXとMX4Dの比較レポ

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大傑作マッドマックス 怒りのデス・ロード』を4DX(ユナイテッドシネマ豊洲)とMX4D(TOHO六本木)で観てきたので、その感想をまとめてみます。

 

4DXとMX4Dって何なん?

そもそも4DXとMX4Dって何かって言うと、どちらも座席が動いたり水がプシューってかかったりする「4D」体験ができるスクリーンのこと。

名前が違う理由は4DXは韓国の会社が作ったもので、MX4Dはアメリカの会社が作ったものだから。ペプシコーラとコカコーラみたいなもんでしょうか。

 

それぞれの詳細についてはこちらでご覧ください。

4DXデジタルシアター ユナイテッド・シネマ豊洲にOPEN!

TOHOシネマズが「体感型」4Dシアターを導入! || TOHOシネマズ

で、今回はその2スクリーンで『マッドマックス4』(タイトル長いので4にしちゃいます)を観て来て、個人的に感じた違いについて紹介しようかと思います。

 

※豊洲と六本木、あと『マッドマックス4』鑑賞時の話なのを改めて強調。こういう機能もあるのか!とビックリ体験をしたいという方にはネタバレになるかもしれないのでご注意を。映画のネタバレについては途中まではなしです。

 

 

4DXとMX4D体験レポ

・スクリーン

1番最初はIMAXで鑑賞していたので、正直どちらのスクリーンも小さめに感じました。

豊洲のスクリーン7はD-5、TOHO六本木のスクリーン8はD-9の座席で観ましたが、どちらも割とスクリーン全体をきっちり観れるぐらいの距離。映画にのめり込んでみたいという人はもう1つ、2つ前の席でもいいかなーと。
ちなみに六本木はC列の前に通路があってA、B席となっているので、個人的にはCがおすすめですかね。

 

・座席の揺れ

デズニーとかユニバの映像系アトラクションみたく、座席が前後・左右・上下に動くのはどちらも同じですが、4DXは何度も頭を座席にぶつけたくらい常に激しく動いていたのに対し、MX4Dの揺れは全体的におとなしめ。可動域が違うというか、4DXの方がより大きな動きを感じました。

 

・座席のブルブル

どちらも座席がブルブル震える機能を搭載しているんですが、4DXは腰と太ももにブルブル。MX4Dはお尻全体がブルブル(どうでもいいとか言わないで)。

 

・何かに押されるような衝撃!?

これ表現するのが難しいんですが、4DXは背中を横長の角棒で押されるような機能があって、MX4Dには両尻と背中に全部で4つ?のボールみたいなものが押してくる機能がありました。

どちらも背中からの攻撃とか地面に倒れた時とかに使われるんですが、個人的には映像とのシンクロをいまいち感じなくて…。

 

・風

さっきの公式ページを見てもらえると分かるんですが、4DXとMX4Dどちらも座席近くに風演出の機能がついています。ただ、4DXにはそれプラス部屋の壁に大きな扇風機が備え付けられています。

これは結構大きな違いの1つで、、髪がなびくぐらいビュービュー風を感じることができます。『マッドマックス4』に関しては結構ずっと強めの風が吹いていて、寒くなる人もいるかもしれないので注意。

 

・水

これも大きく違っていて、4DXは座席の水プシューが上手い具合に調整されていて、それほど激しく顔にかかることはなかったのですが、MX4Dはかなり強めの水が顔めがけてブシュッと飛んできますw。下手したらメガネにもかかるし、結構激し目にくるのでそっちの来る来ないに神経を使うはめになってウザく感じる人もいるかも。

さらに、4DXには天井から雨が降っているような効果も感じられました。

 

・後頭部演出

ここからは小ネタを。4DXに関しては結局最後まで正体が分からなかったんですが、座席の後頭部部分から、なんか水鉄砲で撃たれたみたいな、冷たい感覚がありました(濡れてはなかったような)。

一方、MX4Dも耳元から風がプシュっと出る機能があります。

 

・足下演出

これはどちらも同じでしたが、足にパタパタと柔らかいゴムベラが当たるみたいな感覚がありました。

 

・フラッシュ

これもどちらも似たような感じですが、僕は4DXのほうが好き。理由は主に演出面の理由で多少ネタバレになるので後で詳しく書きます。

 

・料金

4DXは通常料金+1,000円(3Dは1,400円)

MX4Dは通常料金+1,200円(3Dは1,600円)

※どちらも会員割引などあります

 

 

 まとめ

特徴的なところをまとめると、

 

【スクリーン】

どちらも小さめ。IMAX観てると物足りない。

【座席】

4DXの方が揺れが大きく、よりアトラクション的。

【風】

4DXは髪がなびくほどの強めの風が結構常にビュービュー吹いている(寒がりさん注意)。

【水】

4DXは天井から雨効果がある。MX4Dは顔めがけて強めの水噴射がある(メガネ濡れ注意)。

 

巷で噂のエンディングのクソ曲については、まあエンディング直後にかかるわけではないし、僕は一息ついて逃げたので無事生還。それにどうせIMAXで締めるのでいいかなと。

 

みたいな感じですかね。今回は「匂い効果」がなかったのが残念(なかったよね?ダグの匂いとかなかったよね!?)。

4DXの方が全体的により激しく、個人的には4Dを楽しみたいならこちらがおすすめ。

ただ、これも後で書きますが『マッドマックス4』にはMX4Dでしか体験できない"変態効果"もあるので一概にどっちがいいとは言いにくいんです…。

ちなみに僕はやっぱり画面がデッカいIMAXが1番オススメです!!!身も蓋もない!

 

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で、ここからはあくまで『マッドマックス4』での4DX、MX4D演出効果の話です。

映画のネタバレ含みます。

 

 

 

4Dで観てよかった!超絶演出あれこれ

先ほどちらっと書いたフラッシュ演出について。

簡単に言うと4DXは映像とシンクロした工夫が随所に見られました。例えば嵐に巻き込まれるシーンでは、雷に合わせて光ったり、夜の暗闇を武器将軍がサーチライトで照らしながらマックス達を探すシーンでは、サーチライトの動きに合わせて光ったり。

MX4Dもさすがに雷の場面では光ってましたが、こちらは車のクラッシュ場面みたいなあんまり関係ないところでも光ったりする。多分、映像的に盛り上がる場面で光らせているんだと思う。

 

あと、どちらも非常に印象に残ったのは水プシュ効果なんです。

4DXで物凄いのは、イモータン・ジョーが死ぬ場面。フュリオサがイモータンのマスクをブチブチブチ!と引きちぎる場面で、その血しぶきがプシャーっと顔に吹きかかるんです。この超絶な残酷演出には度肝を抜かれました。鳥肌。

 

一方、MX4Dの水プシュ演出にも驚きました。

この映画、フュリオサとトースト(レニー・クラビッツの娘で胸ポチ巨乳)が唾を吐きかける場面がそれぞれあるんですが、その唾とシンクロして顔面に水がプシュー!

なんだこれ!変態大喜びの超鬼畜演出!僕はダグかスプレンディドかフラジールの唾が良かった…。

 

youtu.be

とまあ4D体験レポはこんな感じです。

 

映画自体についてはもう何も言うことはありません。最高、圧倒的、凄い、といった言葉の上限が更新される体験でした。まさかマッドマックスで泣く日がくるとは。生きていてよかった。

What A Lovely Day!!!!!!!!

 

 

 

 

マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015/アメリカ/120分)

原題:MAD MAX:FURY ROAD

監督:ジョージ・ミラー

脚本:ジョージ・ミラー、ブレンダン・マッカーシー、ニコ・ラソウリス

製作:ジョージ・ミラー、ダグ・ミッチェル

撮影:ジョン・シール

美術:コリン・ギブソン

編集:マーガレット・シクセル

音楽:トム・ホルケンボルフ、ジャンキーXL

出演:トム・ハーディシャーリーズ・セロンニコラス・ホルト、ヒュー・キース=バーン、ロージー・ハンティントン=ホワイトリー、アビー・リー、ゾーイ・クラビッツ、コートニー・イートン、ライリー・キーオ

 

 

2014 マイベスト映画20

【2014マイベスト映画20】

 

1. ウルフ・オブ・ウォールストリート

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『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 予告編 - YouTube

感動は思いがけないことに出会った瞬間に訪れるものだと思うが、この映画は予想を超え、どんどん突き抜けて行く展開を見せてくれる。その迫力に圧倒され、胸が踊った!

監督は「警鐘を鳴らす物語」と語っているが、僕はこれを反面教師の物語と思えないところがある。

「ドン底で終わるより、一夜の王でありたい。いや、死ぬまで王でありたい!」という凄まじい根性がほんとに泣かせる。

 

 

2. グレート・ビューティー 追憶のローマ

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映画『グレート・ビューティー/追憶のローマ』予告編 - YouTube

死を想い、生を見つめる幻想の旅。象徴的なモチーフの数々で魅せる美しき人生の惑いと悟りの物語に酔いしれた。

水のように流れるカメラ、麗しい音楽、そして、くわえタバコに笑みをたたえて登場するジェップの佇まいがこの上なく素晴らしい。

 

 

3. リアリティのダンス

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映画『リアリティのダンス』予告編 - YouTube

私的な出来事を詩的に語るホドロフスキーの手腕に驚く。

リアリティをダンスさせながら描かれる彼の物語は、彼自身を救うものでありながら、生きづらさを抱えているすべての人たちを救う物語でもある。

人生の水先案内をしてくれるような素晴らしい作品だった。

 

 

4. プリズナーズ

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映画『プリズナーズ』予告編 - YouTube

役者陣の鬼気迫る演技、撮影、編集、音楽の使い方まで見応えたっぷり。重々しい曇天が広がるロケーションも怖い。

正義と悪、光と闇の混沌の中で迎える幕引きも秀逸な余韻を残す。

 

 

5. ザ・ゲスト

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映画『ザ・ゲスト』予告編 - YouTube

ジャンル映画への愛と尊敬に溢れた快作!

暴れまわる"怪物"の惚れ惚れするような強さ、美しさ。敵か味方か、目的さえも分からない、そのミステリアスな姿がセクシー。

 

 

6. フューリー

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映画『フューリー』予告編 - YouTube

善悪が溶解した血と泥の世界で繰り広げられる命のやりとり。下品なものは下品に、残酷なものは残酷に。

それと対照的に、崇高なまでに美しい男たちの勇姿が胸を打つ。

ドイツ人親子と食卓を囲むシーンの緊張と緩和のバランスの見事さ。演出、演技、どれもが素晴らしい。

 

 

7. 誰よりも狙われた男

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フィリップ・シーモア・ホフマン、ラストの主演作!映画『誰よりも狙われた男』予告編 - YouTube

銃撃戦や爆破ではなく、"会話"で魅せるサスペンス。不穏さを漂わせる会話の緊張感は見事。

極めて人間的なキャラばかりでどこを見ても哀しく、愛おしい。

そして、故フィリップ・シーモア・ホフマンが演じるバッハマンのタバコを吸うその姿のセクシーさ。

彼が叫ぶ「FUCK」は映画史に残る名"FUCK"シーンだった。R.I.P.

 

 

8. ファーナス 訣別の朝

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映画『ファーナス/訣別の朝』予告編 - YouTube

負け続けながらも"苦難の外"に這い出ようとする者たちの物語。

OPとEDに流れて魂の叫びを代弁する"Release"の選曲もいい。

2014年最も演技と演技のぶつかり合いに震えた作品だった。

 

 

9. 複製された男

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映画『複製された男』予告編 - YouTube

あらゆるところにメタファーを敷き詰めた、詩的で美しく奇妙な寓話。

脚本、撮影、音楽、どれも見事だし、説明を排した作りが好奇心を刺激する。

終わってすぐにまた見返したくなる上に、2回目はまた違った印象をもたらす設計なのもとてもよく出来ている。

 

 

10. ネブラスカ

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映画『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』予告編 - YouTube

父を超えたいという思いと、いつまでも威厳を持っていて欲しいという思いの間で揺れる息子に共感した。

父もいつまでも"男"でありたいものだと思う。その複雑な父と子の関係に対する最良の選択を見た。

新旧の境が溶け合い、人生は続く。

 

 

11. 8月の家族たち

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映画『8月の家族たち』予告編 - YouTube

家族は"他人"であることを描きつつ、それでも永遠に"家族"という絆に囚われる悲劇。奥深く人間臭い登場人物たちがそれぞれ魅力的だった。

 

 

12. ニンフォマニアック Vol.1 & Vol.2

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『ニンフォマニアック Vol.1/Vol.2』予告編 ハードVer.(R18+) - YouTube

色情狂女の回想をインテリ男がいちいち数学的に、文学的に解釈していくバカバカしさが可笑しくてしかたなかった。

 

 

13. アデル、ブルーは熱い色

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『アデル、ブルーは熱い色』予告編 - YouTube

もの凄い没入感。五感が生の糧、痛みは愛の証明であることを繊細に描く。

2人の生き生きとした演技に心奪われた。

 

 

14.百円の恋

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『百円の恋』予告編 - YouTube

負け犬ですらなかった女が最後に口にするシンプルの言葉が胸を打つ。 

安藤サクラの心の演技、肉体の演技がとにかく素晴らしい。

 

 

15.マップ・トゥ・ザ・スターズ

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映画『マップ・トゥ・ザ・スターズ』予告編 - YouTube

欲望、嫉妬、憎悪、相変わらず狂気が蔓延している。クライマックスの崩壊が素晴らしい。

 

 

16. ハミングバード

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『ハミングバード』予告編 - YouTube

高層ビルと地上 (=どん底)の対比のうまさ。社会派でありながらアクションでも魅せるバランスが見事。

 

 

17. ジャージー・ボーイズ

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映画『ジャージー・ボーイズ』予告編(ロングバージョン)【HD】 2014年9月27日公開 - YouTube

イーストウッド版『グッドフェローズ』。まるでギャング映画の味わいに歓喜した。

 

 

18. her/世界でひとつの彼女

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映画『her/世界でひとつの彼女』予告篇 - YouTube

この世界に住みたいと思わせる未来世界のこだわり抜いたビジュアルが美しい。

ラブストーリーだが、極めてSF的な展開にも驚いた。 

 

 

19. サボタージュ

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映画『サボタージュ』予告編 - YouTube

血なまぐさいバイオレンスの凄まじさ。善悪の境が見えない濁った世界に放り込まれたシュワちゃんが新境地を開拓した。

 

 

20. ある優しき殺人者の記録

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映画『ある優しき殺人者の記録』予告編 - YouTube

最初と最後で映画の印象が180度変わってしまう面白さ。全編ほぼ1カットで展開されるジャンルを超越した展開に圧倒された。

 

 

一覧

1.ウルフ・オブ・ウォールストリート
2.グレート・ビューティー 追憶のローマ
3.リアリティのダンス
4.プリズナーズ
5.ザ・ゲスト
6.フューリー
7.誰よりも狙われた男
8.ファーナス 訣別の朝
9.複製された男
10.ネブラスカ
11.8月の家族たち
12.ニンフォマニアック Vol.1 Vol.2
13.アデル、ブルーは熱い色
14.百円の恋
15.マップ・トゥ・ザ・スターズ
16.ハミングバード
17.ジャージー・ボーイズ
18.her
19.サボタージュ
20.ある優しき殺人者の記録

 

2014年の劇場鑑賞数181本

DVD/BDなどが130本

年間の映画鑑賞数311本でした。

 

2014 ミュージックビデオ ベスト 10

「2014 ミュージックビデオ ベスト 10+1」

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独断と偏見で選んでみました。

1位から順になってます。では、どうぞ。

 

 

 

1. BRONDINSKI Feat.SD "Can't Help Myself"

素晴らしいMVやCMを作りまくっているメガフォース制作の作品。過去作品はこちらから→ http://www.megaforce.fr/

黒い玉とトンネルのモチーフがかっこいい。

奥さんと上の娘とはうまくいっていないのを匂わせ、そこに胸の内から染み出てくる(←この感じがいい!)黒い玉。

クラブで出会った女の子とバイクで走り去る美しい場面で終わるかと思ったら、最後にトンネルにいるのは男の子。

"あの頃は良かった"というノスタルジアの際限なき地獄の話。

 

 

 

2. Mac DeMarco "Passing Out Pieces"

マック・デマルコっていうカナダ人シンガーのMV。

脈絡のない暴力とサイケなイメージが連続する絶妙なトリップ感。

VHS映像、広角レンズと手法にも凝っていて、混沌をうまくコントロールしているのがうまい。

 

 

 

3. Sia "Chandelier"

今年最も話題のMVの1つ。

映画『セブン』に出てきた集合住宅の一室みたいな暗く汚い部屋に、一瞬、裸かと見間違うような全身肌色のレオタードを着た少女が現れ、踊り狂う。

金髪、ショートカット、肌色のレオタード、この衝撃的なビジュアルは『ブレード・ランナー』の女レプリカント、プリスの影響を受けたのは間違いないと思う→Blade Runner (6/10) Movie CLIP - Deckard vs. Pris (1982) HD - YouTube

圧倒的なパフォーマンスを見せているこの少女は、マディ・ジーグラーちゃん(11歳)。

この子の顔、雰囲気はもちろん、美術、振付け、すべてが美しい。

そしてラストショット。フォーカスが少しずつぼやけていき、不穏に響く環境音が背筋にゾクッとした感覚を残す。演出も見事。

 

 

 

 

4. OK Go "The Writing's On the Wall"

これはもはや説明不要。

毎回あらゆるアイデアとギミックで楽しいMVを作ってくれるOK Goの新作。

HONDAとコラボしたこれもいいけど→OK Go - I Won't Let You Down - Official Video - YouTube

個人的にはこっちの手作りっぽい細々した感じの方が好き。

 

 

 

 

5. M.I.A & The Partysquad "Double Bubble Trouble"

M.I.A.自身が監督。衣装、小道具の色設計、スタイリッシュな編集のひとつひとつ全てがM.I.A.のセンスに溢れている。

ワイプで映像をかぶせてくるところのダサカッコよさなんかは、1歩間違えればかなり素人臭くなりそうだけど、うまくまとめているのがすごい。

話題の3Dプリンター銃をいち早く取り入れる行動力もM.I.A.らしい。

 

 

 

 

6. Royal Blood "Figure It Out"

イデア勝ちの1本。

パッと画面が赤から青に切り替わった瞬間、「うわーこれはやられた」と思った。

ただ、後半の展開力に欠けたのが残念。

もっとストイックにやっていれば傑作だったと思う。

 

 

 

7.Queens of the Stone Age "Smooth Sailing"

監督は日本出身のヒロ・ムライ。

ロケーション、照明、カメラワークなどがいちいちカッコイイ。

北野武作品のようなドライで無表情で残酷な方向を目指したとのこと。

後半の悪夢のような展開がおもしろく、主要キャストが日本人サラリーマンというミスマッチ感も新しく楽しい。

 

 

 

 

8.DJ Snake, Lil Jon "Turn Down for What"

脳みそが溶けそうなほどアホでカラッポでめちゃくちゃ楽しい作品。

「Turn down for what ?」「Fire up that loud」「Another round of shots」という3つのセンテンスのみで構成された頭の悪い歌詞を見事に表現したMVといえるかも?

 

 

 

 

9. おとぎ話 "COSMOS"

女の子のダンスという点では3位の"Chandelier"と共通するが、あっちが陰だとするとこちらは陽。

女の子を横から追っていたカメラがぐるっと前に回ると、後ろに煌びやかな夜の銀座のネオンが輝く。そこでアーティスト名が大きくバッと出て、音楽が高まり、踊りが始まり、映像が躍動する。あの瞬間、ぶわぁーっと込み上げるものがある。

個人的には、後半の女の子の表情が微妙に気になるが、ワンカットでもきっちり計算された構図の1つ1つは非常に綺麗。

ちなみにこの年齢不詳の女の子、水谷豊伊藤蘭の娘(24歳)らしい→趣里 - Wikipedia

 

 

 

 

10. Lykke Li "No Rest for the Wicked"

監督はTarik Salehというスウェーデン人で、リッキ・リーが主演のスリラー映画『Tommy』も手がけた人物。このリッキ・リーもまたスウェーデン人。

"No Rest For The Wicked"は「悪人に平穏なし」という意味。聖書のイザヤ書に「 no peace for the wicked」という表現が登場するらしい。

暗く冷たい空気が漂う中、2人が互いの温もりを求め合い抱き合う。その切なく儚い美しさ。差別に屈する者の姿は、血の味を思い起こさせる。

 

 

 

おまけ. Karen O "Ooo"

公式MVではなく、スパイク・ジョーンズが友人で元カノのカレン・Oにサプライズ・プレゼントとして作ったもの。

撮影はNYコレクションの準備をしているメトロポリタン劇場で行われ、エル・ファニングを起用。

スパイク・ジョーンズといえば、去年の作品だが『フランシス・ハ』の主演女優グレタ・ガーウィグと作ったパフォーマンス型MVも傑作→Arcade Fire - "Afterlife" - Live at the YouTube Music Awards (YTMA) - YouTube