2015年マイベスト映画20
1.『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
もはや説明不要。すべてが圧倒的。こんなに強烈な映画はもう死ぬまでないんじゃないか、と悲しい思いがよぎるほどに別格。すでに予告編が凄すぎたけど、そのテンションが全編続いていて、まだ見せてないクライマックスが山ほどあったことに心底驚いた。
2.『ウォーリアー』
長い目で見ると『薄氷の殺人』の方が好きかもしれないけど、"今年のベスト"としては瞬発力でこちらが勝った。クライマックスのトーナメントは呼吸を忘れるほどに興奮したし、"About Today"が流れる場面は涙なしで観ることは不可能。
3.『薄氷の殺人』
ハードボイルドものの掴みどころの無い魅力が、中国という国の独特の雰囲気と融合して本当に奇妙な味わい。1ショットごとの美しさにも息を呑むし、映画全体を貫くリズムを非常に独特。空虚なダンス。そして、白昼の花火が残す余韻は絶品。
4.『イミテーション・ゲーム』
映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』予告編
"隠すこと"をキーワードとした、重層的な脚本がスゴい。はみ出し者に向けた人間讃歌にめちゃくちゃ胸を打たれた。カンバーバッチの見事な演技にも舌を巻いた。
5.『インヒアレント・ヴァイス』
映画『インヒアレント・ヴァイス』予告編
珍妙さの極み。豪華キャストやオフビートな笑い、ホアキンの完全にラリってふわふわした感じの演技など、どこを取っても面白い。
6.『ブルー・リベンジ』
リアリティを追求することで、大真面目な場面がコメディのような可笑しさを孕んでくるところが面白い。それでいて冒頭など暴力の描写は厳しく、強烈な印象を残す。『わらの犬』『鮮血の美学』などを思わせる、暴力がたどり着く恐ろしく寂しい結末も良い。
7.『ミニオンズ』
今年最も心和んだ作品。終始ニヤニヤが止まらないが、ヒッピーカルチャーや英国ロック、映画の引用などの盛り込み具合は並大抵のこだわりではない。歴史とのリンクのさせ方も絶妙。
8.『ヴィンセントが教えてくれたこと』
現在のビル・マーレイの魅力を余すところなく引き出した1本。善人とも悪人とも言い難い、面倒くさい人間描写がたまらなく愛おしい。ビル・マーレイが歌うボブ・ディランの"Shelter From The Storm"は本当に名場面→ビル・マーレイがボブ・ディランの名曲を超テキトーに歌う特別映像
9.『ストレイト・アウタ・コンプトン』
虐げられた者たちが立ち上がる物語はいつだって胸に響く。青春モノの切なさを残すところも大きな魅力。今なお、中指を突き立てざるを得ない出来事は山ほどあるが、屈するな!という力が込み上げてくる。
10.『ナイトクローラー』
今年最も最低な人間が出てくる映画!この作品のジェイク・ギレンホールは度を越して"最低"で、感情移入すら困難なレベルまで達している。それでも、どうしようもないクズを見るのはとにかく楽しい!(映画の中では)。
11.『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
新シリーズの幕開けとしては完璧と言っていいのでは。旧シリーズファンへの接待が終わり、本当の意味でのスタートとなる次作が楽しみ。
12.『コングレス未来学会議』
目眩くトリップ感が面白い。ハーヴェイ・カイテルの演技は涙なくして見れない。
13.『さよなら、人類』
1シーン1カットの絵画のような画づくりの素晴らしさ。想像の範疇を遥かに超える奇妙な映画で驚いた。
14.『キングスマン』
映画において、現実世界の"正しさ"がいかに無意味かを痛感した。教会のシーンやクライマックスは涙ぐむほどに凄まじい感動があった。
15.『ミケランジェロ・プロジェクト』
戦争映画ではあるものの、暗くなりすぎない軽快さが今の時代には新鮮に映った。「モニュメンツ・メン」の存在を知れたというだけでも観てよかった。
16.『誘拐の掟』
量産される「リーアム・ニーソン最強映画」の1つと甘くみていたら、毒々しく、シブいミステリーでぐんぐん引き込まれた。
17.『フォックスキャッチャー』
観ていて本当に居心地が悪くなった。悲劇と喜劇の境界線上にあるような印象で、笑えるところだけど…うわぁキツいなあ…という感覚を何度も味わった。スティーブ・カレルの不気味でいて哀しい演技は見事としか言いようがない。
18.『白い沈黙』
映画全体の凄まじく不気味な雰囲気に圧倒された。謎は明かされ、問題は解決するものだ、という常識から外れた後味の悪さが非常に恐ろしい。
19.『野火』
デジタル映像の異様な雰囲気や、物語自体も常軌を逸したものだが、何と言っても塚本監督の熱意がスクリーンから溶け出してくるような熱さを感じた。
20.『The Drop』
トム・ハーディも素晴らしいが、ジェームズ・ガンドルフィーニの遺作がスクリーンで観られなかったということは本当に残念でならない。