祝!エンニオ・モリコーネ大先生、念願のアカデミー賞受賞!本当によかった!
第88回アカデミー賞が発表されました。
今回の個人的なハイライトは
- 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が最多6冠(ジョージ・ミラー監督賞獲れず!作品賞も逃す!)
- マーク・ライランスがスライを抑えて助演男優賞を受賞!スゴい!
- 追悼でデイヴ・グロールによるビートルズの名曲"Blackbird"(最初の写真はウェス・クレイヴン)
- エンニオ・モリコーネ御大の涙
- レオナルド・ディカプリオやっと受賞で優等生スピーチ
あー『マッドマックス』V8届かず残念だったなー。でも受賞した"ウォーボーイズ"たちはみんな嬉しそうでよかったですね。
で、今回は87歳で初受賞(!)のエンニオ・モリコーネ大先生について。
過去に5度ノミネートされており、6度目でついに受賞。これまでどんな人たちとオスカーを争っていたのか調べてみたところ、
『天国の日々』で初ノミネートとなった1979年の作曲賞は、ジョルジオ・モロダーの『ミッドナイト・エクスプレス』に敗北。以下はその他ノミニー。
『天国から来たチャンピオン』デイヴ・グルーシン
『スーパーマン』ジョン・ウィリアムズ
1987年の作曲賞は『ラウンド・ミッドナイト』でハービー・ハンコックが受賞(サックス奏者の映画ですしねぇ)。モリコーネは素晴らしすぎるテーマ曲の『ミッション』で獲得ならず。
『勝利への旅立ち』ジェリー・ゴールド・スミス
『スタートレックⅣ 故郷への長い道』レナード・ローゼンマン
2年連続のノミネートとなったこの年、モリコーネは何度聴いても鳥肌モノの『アンタッチャブル』で選出(ちなみにグラミー賞は受賞)。これを抑えたのは『ラストエンペラー』のデヴィッド・バーン&コン・スー&坂本龍一でした。2作品でノミネートされてるジョン・ウィリアムズも凄い…。
『遠い夜明け』ジョージ・フェントン、ヨナス・グワングワ
『イーストウィックの魔女たち』ジョン・ウィリアムズ
今度は『バグジー』でノミネート。しかし、受賞したのは『美女と野獣』アラン・メンケン。メンケンはこの年の歌曲賞もかっさらいまして、翌年は『アラジン』で作曲賞と名曲"A Whole New World"で歌曲賞も受賞。
『サウス・キャロライナ/愛と追憶の彼方』ジェームズ・ニュートン・ハワード
少し間があいて、『マレーナ』(これも泣かせる音楽だったなぁ)で5度目のノミネートも、『グリーン・デスティニー』のタン・ドゥンに敗れました。『グラディエーター』も印象的な音楽でしたよね。
『ショコラ』レイチェル・ポートマン
で、ついにクエンティン・タランティーノ監督『ヘイトフル・エイト』で念願の作曲賞を受賞!!!
『ブリッジ・オブ・スパイ』トーマス・ニューマン
『キャロル』カーター・バーウェル
『ボーダーライン』ヨハン・ヨハンソン
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』ジョン・ウィリアムズ
※ちなみに第79回アカデミー賞で名誉賞は受賞しています。
モリコーネ大先生といえば、ほかにも強烈にカッコイイ『続・夕陽のガンマン』、"The Ecstasy of Gold"とか最高。涙ボロボロの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』、あと『めぐり逢い』の音楽も良いんですよね。
オスカーをアシストする形となったタラは以前から"モリコーネ愛"を公言していて、『イングロリアス・バスターズ』(2009)でも作曲を依頼していましたが、その際はスケジュールの折り合いがつかず(劇中には既存の曲を数曲使用)。
『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012)には書き下ろしの新作を1曲だけ提供しましたが、その際に御大は「タランティーノ嫌だよ、スケジュールぎりぎりで言ってくるし。うるさいから作ってあった曲をあげただけ」と告白してまして、「タラってあちこちから音楽寄せ集めてぐちゃぐちゃにするし、ああいうのは作曲家からしたら許せん!」とも仰っておられました。
さらには『ジャンゴ』について「正直、血ばっか出てて、あんな物騒な映画好きじゃないよ」とも。
ちなみにエロ残酷拷問スカトロ映画の『ソドムの市』(1975)では、パゾリーニ監督はショック描写のないシーンだけをモリコーネに見せて音楽を依頼(そんなシーンある!?)。モリコーネ師匠はその気づかいに大変感激されたそうです。
今回の受賞スピーチでは、涙ぐみながら「素晴らしい映画なくして、美しい音楽はできません。クエンティン・タランティーノ監督に感謝を捧げます、私を選んでくれてありがとう」とコメント。
あの姿、タラにも会場で見せてあげたかった!!
最後は「今も見守っている妻にこの賞を捧げます」(御大は非常に愛妻家)と締めくくり、会場もスタンディングオベーションでした。
ああ、本当によかった!涙!